「これだけ大変な仕事をしているのに、なぜ手取りは増えないのか」——多くの看護師が一度は感じたことのある疑問だと思います。
夜勤をこなし、命に関わる責任を背負いながら働いていても、給与明細を見て「思ったより増えていない」と感じる。この違和感は、あなたの頑張りが足りないからではありません。看護師という職業の給与が上がりにくい構造には、個人の努力だけでは変えられない要因がいくつも存在します。
- 看護師の給与が上がりにくいのは、個人の能力や頑張りの問題ではなく、業界構造そのものに原因があります。
- 診療報酬改定によるベースアップも、ボーナス減少などで相殺され、手取りベースでの実感には結びつきにくいのが実情です。
- 夜勤手当や役職といった従来の「給料を上げる手段」は、入れる人・就ける人が限られており、全員が使える解決策ではありません。
- 業界構造そのものを個人が変えることは難しいため、看護師という枠の外に収入の柱を持つという発想が、根本的な解決策になり得ます。
看護師の給料が上がらないと感じる、構造的な理由
1. 診療報酬改定の恩恵は「基本給」止まりで、ボーナスは減ることがある
看護師の給与は、病院の収入源である診療報酬制度に大きく左右されます。近年、政府は看護師の処遇改善のため、診療報酬にベースアップのための評価料を設ける改定を行っています。
しかし、2024年度は所定内給与額(超過勤務手当や通勤手当を除く基本給部分)が前年度比で1万円ほど増加した一方、年間賞与は前年比で2万円以上のマイナスとなっています[1]。
つまり、基本給が上がっても賞与が減ることで、年収トータルでは思ったほど増えていない、という現象が起きています。
2. 夜勤手当は「入れる人」しか恩恵を受けられない
看護師の給与を大きく底上げしているのは夜勤手当であるということは、皆さんには周知の事実だと思います。しかし、子育てや体力的な事情などで夜勤に入れない看護師は少なくなく、夜勤ができる人とできない人との間で、実質的な収入格差が生まれています。
つまり「夜勤を頑張れば給料が上がる」という構造自体が、ライフステージによって使える人と使えない人に分かれてしまっているのです。
3. 役職に就ける人数が、そもそも限られている
昇給の王道とされる「役職に就く」という手段も、実はかなり狭き門です。
看護師の人数が多い職場では役職ポストを巡る競争率が上がり、経験年数を重ねても役職に就けないまま働き続ける人が増えています。
他の業界と比べても、看護師は現場スタッフの人数に対して昇進枠が少ない構造になりやすく、「経験を積めば自然と給料が上がる」という前提そのものが崩れつつあります。
4. 勤務先の経営母体・地域によって、そもそもの給与水準が違う
同じ看護師という資格でも、勤務先によって給与水準には大きな差があります。病院の規模や経営母体(個人病院か総合病院か、都市部か地方か)によって、年間で数十万円単位の差が生じることも珍しくありません[2]。
つまり、「今の職場でどれだけ頑張るか」だけでなく「そもそもどの職場にいるか」という、個人の努力の外側にある要因が給与を大きく左右しているのです。
「手取り」ベースで見るとさらに実感が薄くなる理由
額面の給与が多少上がっても、「手取り」ではその実感が薄れやすいのにも理由があります。
- 基本給や手当が増えると、それに伴って社会保険料(健康保険・厚生年金)の負担額も上がる
- 所得税・住民税も収入に応じて増える
- 夜勤や残業を増やして額面を増やしても、その分の手当は課税・社会保険料の対象になる
つまり、「額面は上がっているはずなのに、手取りの伸びは小さい」と感じるのは、錯覚ではなく制度上、自然な現象なのです。
従来の解決策が通用しにくくなっている
給料が上がらない悩みに対して、これまで一般的に語られてきた解決策は、大きく分けて「資格を取る」「役職を目指す」「転職する」の3つです。
| 解決策 | 効果 | 限界 |
|---|---|---|
| 専門資格を取得する | 資格手当がつく場合がある | 取得までに実務経験や時間がかかり、維持費もかかる |
| 役職を目指す | 役職手当がつく | ポストの数が限られ、競争率が高い |
| 転職する | 給与水準の高い職場に移れる可能性がある | 同じ業界構造の中での移動にすぎず、根本的な解決にはならない |
これらはどれも「看護師という枠組みの中で、より良いポジションを取りに行く」アプローチです。個人の努力次第でうまくいくこともありますが、業界全体の給与構造そのものは変わらないため、根本的な解決策にはなりにくいという限界があります。
収入の柱を外に持つという発想
ここまで見てきた通り、給与が上がりにくい理由の多くは、個人の努力だけではどうにもならない業界構造に起因しています。診療報酬制度も、夜勤の有無も、役職ポストの数も、経営母体による格差も、一看護師の努力で変えられるものではありません。
だからこそ、根本的な解決策として有効なのが、「看護師という枠組みの外に、もうひとつの収入の柱を持つ」という発想です。
これには、以下のようなメリットがあります。
- 業界の構造に左右されない収入源を持てる
- 「今の職場に依存しなければ生きていけない」という状態から抜け出せる
- 収入だけでなく、「看護師という仕事以外の選択肢がある」という心理的な余裕も持てる
これは、今の職場や看護師という仕事そのものを否定するものではありません。
むしろ、外に収入の柱を持つことで、今の仕事とも健全な距離感で向き合えるようになる、という考え方です。
副業スキルを身につける
副業スキルには、Webライティング、SNS運用、プログラミング、動画編集など、さまざまなものがあります。
これらを身につければ、単体でも収入源になるほか、看護師としての経験をかけあわせてさらなる価値を生むことも可能です。
副業スキルにはそれぞれ、向いている人と向いていない人がいるので、自分にどんな副業タイプが合うか気になる方は、以下の診断をチェックしてみてください。
副業で失敗したくない看護師の方は、「医療者のための副業スクール活用ガイド」を読んで、医療者が副業で挫折しがちなポイントを先回りして知っておくことをおすすめします。
在宅でできる副業に興味がある方は、次の記事も参考にしてみてください。

まとめ:頑張りが足りないのではなく、仕組みの問題
看護師の手取りが上がらないのは、あなたの頑張りが足りないからではありません。診療報酬制度、夜勤手当の偏り、役職ポストの少なさ、経営母体による格差など、個人の努力の外側にある構造的な要因が大きく影響しています。
だからこそ、「この業界の中でどう頑張るか」だけでなく、「この業界の外にも収入の柱を持つ」という視点を持つことが、遠回りに見えて、実は最も現実的な解決策になり得ます。
<引用文献>
[1] 看護師賃上げ2026|診療報酬改定で給与は上がる?賃上げ難の理由と対策, edenred, https://edenred.jp/article/productivity/283/
[2] 2025 年 病院看護実態調査 報告書, 日本看護協会 https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/102.pdf

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